現在のところ判明している、洗濯バサミ DHCP には、以下のような
問題があります。
- 洗濯バサミをなくしてしまうと、その IP アドレスが使えなくなって
しまう
RFC でも指摘されているように、なくした洗濯バサミは誰かが拾って
使ってしまうかもしれないので、別の洗濯バサミを用意してその
IP アドレスを使う訳にはいきません。なくさないようにするには、
クライアントはサーバから IP アドレスを割り当てられたらすぐに
NIC 付近のケーブルに取り付けます。
また、2001年4月に行なわれた
RFC1149 の実装実験
の結果を見る限りでは、現時点における鳥類キャリアを利用しての
IP アドレスの貸与では、パケットロスによって多くの洗濯バサミが
消失し、半数近くのアドレスが使えなくなりそうです。
- 情報の盗聴や改竄が容易
洗濯バサミや用紙上の情報は全て平文であり、機密情報を扱うには
適していません。また、シールを張り換えたりしてしまうことで、
情報の改竄も比較的簡単に行なえます。
情報の暗号化は暗号表の使用により可能ですが、情報の改竄を
阻止したり、検出したりする機能は、現在のところ用意されていません。
- 人的要因によるミスが生じ得る
洗濯バサミから IP 層への情報転送時に、人的要因による情報の誤解や
読み込みエラーから、ネットワークトラブルが起こり得ることが
RFC で指摘されています。現在のところ、対策はクライアントの教育
以外に有効なものはありません。
- 無人サーバでのセキュリティ問題
無人サーバではクライアントが自由に IP アドレスを取得することが
可能なため、不正なクライアントが IP を使い尽くしてしまったり、
IP アドレスを使用不能にしてしまうおそれがあります。
有人サーバではこのような問題は少ないでしょう。
- 大量の IP アドレス配布が困難
配布する IP アドレスの量が増えるに従って、サーバの規模を拡大する
必要があります。また、準備しなければならない洗濯バサミの量も
比例して増加します。現実に対応できるシステムの大きさは
せいぜいクラスC程度のネットワークでしょう。それ以上は通常の
DHCP をお勧めします。
- 無線 LAN では使用できない
IEEE 802.11b などによる無線LANでは、洗濯バサミDHCPを利用することは
できません。現在のところ、対策は見つかっていません。
戻る