SENDMAIL(1)                                                        SENDMAIL(1)



名前
       sendmail - Postfix Sendmail 互換インターフェース

書式
       sendmail [option ...] [recipient ...]

       mailq
       sendmail -bp

       newaliases
       sendmail -I

解説
       Postfix sendmail(1) コマンドは Postfix に Sendmail 互換インターフェース
       を提供します。現在あるアプリケーションとの互換性のため、 Sendmail コ マ
       ンドラインオプションのいくつかは認識されますが、静かに無視されます。

       デフォルトでは、Postfix sendmail(1) はメッセージを標準入力から EOF また
       は . だけの行を読み込むまで読み込み、配送の準備をします。 Postfix send-
       mail(1)  はキューファイルを maildrop ディレクトリに作成するために post-
       drop(1) コマンドを信頼します。

       他の共通した動作モードのために、特定のコマンドエイリアスが使えます:

       mailq  メールキューをリストアップします。それぞれのエントリはキューファ
              イ ル ID、メッセージサイズ、到着時刻、送信者、そして依然として配
              送が必要な受信者を示します。もし前回の試行で配送できていなければ
              、失敗した理由も示されます。この動作モードは postqueue(1) コマン
              ドを実行することで実装されています。

       newaliases
              エイリアスデータベースを初期化します。入力ファイルが (-oA で、下
              を参照) 指定されなければ、プログラムは alias_database 設定パラメ
              ータで指定されたファイルを処理します。エイリアスデータベース形式
              が 指定されなければ、プログラムは default_database_type 設定パラ
              メータで指定された形式を使います。この動作モードは  postalias(1)
              コマンドを走らせることで実装されています。

              注意: エイリアスデータベースの更新が反映されるまでに時間がかかる
              かも知れません。この遅延をなくすには "postfix reload" コマンドを
	      使います。

       こ れらおよび他の機能は適切な組み合わせのコマンドラインオプションを指定
       することで選択できます。いくつかの機能は main.cf 設定ファイル内のパラメ
       ータで制御されます。

       次のオプションが認識されます:

       -Am (無視されます)

       -Ac (無視されます)
              Postfix  sendmail は最初のメッセージ投函かどうかにかかわらず、同
              じ設定ファイルを使います。

       -B body_type
              メッセージ本体の MIME タイプ: 7BIT または 8BITMIME-bd    デーモンモードになります。この動作モードは "postfix start" コ マ
              ンドを実行することで実装されています。

       -bh (無視されます)

       -bH (無視されます)
              Postfix は永続的なホスト状態データベースを持ちません。

       -bi    エイリアスデータベースを初期化します。上の newaliases コマンド参
              照。

       -bm    メールを標準入力から読み込み、配送の準備をします。これがデフォル
              トの動作モードです。

       -bp    メールキューをリストアップします。上の mailq コマンド参照。

       -bs     スタンドアロン SMTP サーバモード。SMTP コマンドを標準入力から読
              み込み、標準出力に応答を書き出します。スタンドアロン SMTP サーバ
              モードでは、メール中継やその他のアクセス制御はデフォルトでは無効
              になっています。これらを有効にするには、 mail_owner ユーザとして
              プロセスを走らせます。

              この動作モードは smtpd(8) デーモンを走らせることで実装しています
              。

       -bv    メッセージを集めたり配送しません。代わりに受信者アドレスを検証し
              た 後でレポートをEメールで送ります。これはアドレス書き換えやルー
              ティング設定のテストに便利です。

              この機能は Postfix バージョン 2.1 以降で使えます。

       -C config_file

       -C config_dir
              main.cf ファイルのパス名、もしくはその親ディレクトリ。この情報は
              バージョン2.3より前のPostfixでは無視されます。

              す べてのバージョンのPostfixで、設定ファイルの場所を上書きするの
              に MAIL_CONFIG 環境変数でディレクトリパス名を指定することがで き
              ます。

       -F full_name
              送 信者のフルネームをセットします。これは From: メッセージヘッダ
              がないメッセージにのみ使われます。

       -f sender
              エンベロープの送信者アドレスをセットします。これは配送問題が通知
	      さ れ る アドレスです。Postfixバージョン2.1以前では、 Errors-To:
	      メッセージヘッダがエラー返送アドレスを上書きします。

       -G     最初のユーザの投函ではなく、ゲートウェイ (リレー) の投函。アドレ
              ス を全く書き換えないか、remote_header_rewrite_domain で指定され
              たドメイン情報を使って不完全なアドレスを更新します。

              このオプションは Postfixバージョン2.3より前では無視されます。

       -h hop_count (無視されます)
              ホップカウントの制限。hopcount_limit 設定パラメータを代わりに 使
              ってください。

       -I     エイリアスデータベースを初期化します。上の newaliases コマンド参
              照。

       -i     メッセージを標準入力から読み込む場合、"." 文字だけの行を入力の終
              りとして扱いません。

       -L label (無視されます)
              ロ ギングレベル。代わりに syslog_name パラメータを使ってください
              。

       -m (無視されます)
              後方互換性。

       -N dsn (デフォルト: 'delay, failure')
              配送状態通知の制御。failure (配送失敗時に通知を送る)、 delay (配
              送 遅延時に通知を送る)、もしくは success (メッセージが配送された
              ときに通知を送る) のうち1つ以上をカンマで 区 切っ て 指 定 す る
              か、never (通知を一切送らない) を指定します。

              この機能はPostfix 2.3以降で使えます。

       -n (無視されます)
              後方互換性。

       -oAalias_database
              デ フ ォ ル ト で は ないエイリアスデータベース。pathname または
              type:pathname を指定してください。詳細は postalias(1) 参照。

       -O option=value (無視されます)
              後方互換性。

       -o7 (無視されます)

       -o8 (無視されます)
              8ビットまたはバイナリコンテンツを送るには、MIME による適切なカプ
              セル化をおこない、適切な -B コマンドラインオプションを指定してく
              ださい。

       -oi    メッセージを標準入力から読み込む場合、"." 文字だけの行を入力の終
              りとして扱いません。

       -om (無視されます)
              送信者をエイリアスなどの展開から削除しません。

       -o x value (無視されます)
              オ プション xvalue をセットします。代わりに main.cf 内の等価
              な設定パラメータを使ってください。

       -r sender
              エンベロープの送信者アドレスをセットします。これは配送問題が通知
	      さ れ る アドレスです。Postfixバージョン2.1以前では、 Errors-To:
	      メッセージヘッダがエラー返送アドレスを上書きします。

       -R return_limit (無視されます)
              バウンスされるメールの サ イ ズ を 制 限 し ま す 。 代 わ り に
              bounce_size_limit 設定パラメータを使ってください。

              警 告: 配送できないメールを頻繁に flush すると、他の全てのメール
              の配送パフォーマンスが落ちることになります。

       -q     キューにたまったメールを全て配送し よ う と し ま す 。 こ れ は
              postqueue(1) コマンドを実行することで実装されています。

              警告: 配送できないメールを頻繁に流そうとすると、他のメール
              すべての配送パフォーマンスが落ちてしまうことがあります。

       -qinterval (無視されます)
              キ ューが走る間隔。代わりに queue_run_delay 設定パラメータを使っ
              てください。

       -qRsite
              キューにたまった site 宛の全てのメールをすぐに配送するようにスケ
              ジュールに入れます。このオプションは "高速 flush" サービスに適格
              な site 名のみを受け付け、postqueue(1) コマンドを実行すること で
              実 装 されています。 "高速 flush" サービスについての詳しい情報は
              flush(8) を参照してください。

       -qSsite
              このコマンドは実装されていません。代わりに遅い "sendmail -q"  コ
	      マンドを使ってください。

       -t     メッセージヘッダから受信者を抽出します。これらはコマンドラインで
              指定された受信者に付け加えられます。

              バージョン 2.1 以前の Postfix では、このオプションにはコマンドラ
              インで受信者が指定されていないことが要求されます。

       -U (無視されます)
              ユーザからの最初の発送。

              この機能は Postfix バージョン 1.1 以降で使えます。

       -V envid
              DSN をサポートするサーバによる通知での、エンベロープIDを指定しま
              す。

              この機能はPostfix 2.3以降で使えます。

       -XV (Postfix 2.2以前では: -V)
              変更可能なエンベロープ Return Path。owner-listname@origin 形式の
              エンベロープ送信者アドレスを与える と 、 そ れ ぞ れ の 受 信 者
              user@domain はパーソナライズされたエンベロープアドレスを持つメー
              ルを受け取ります。

              デフォルトでは、パーソナライズされたエンベロープ送信者アドレスは
              owner-listname+user=domain@origin  です。デフォルトの + および =
              文字は default_verp_delimiters 設定パラメータで設定可能です。

       -XVxy (Postfix 2.2 and earlier: -Vxy)
              -V と同様ですが、default_verp_delimiters 設定パラメータで指定 さ
              れた文字の代わりに x および y を VERP デリミタ文字として使 い ま
              す。

       -v     全ての配送試行についてレポートをEメールで送ります (Postfix バ ー
              ジ ョ ン 2.1 以降)。メール配送は常にバックグラウンドで起こります
              。-v オプションを複数指定すると、デバッグ目的の冗長ログを有効 に
              します。

       -X log_file (無視されます)
              メ ー ラ ト ラ フ ィ ッ ク の ログをとります。debug_peer_listdebug_peer_level 設定パラメータを代わりに使ってください。

セキュリティ
       設計上、このプログラムは set-user (または group) ID ではありません。 し
       か し、信頼できないユーザやマシンからのデータを扱わなければいけません。
       従って、悪意ある入力に対する通常の警戒が必要です。

診断
       問題は syslogd(8) と標準エラー出力に記録されます。

環境変数
       MAIL_CONFIG
              Postfix 設定ファイルのディレクトリ。

       MAIL_VERBOSE
              デバッグ目的の冗長ログモードを有効にします。

       MAIL_DEBUG
              debugger_command 設定パラメータで指定された外部コマンドでのデ バ
              ッグを可能にする。

設定パラメータ
       以下の main.cf パラメータは特にこのプログラムに関連があります。以下の文
       章はパラメータの概要のみを提供します。例を含む詳細は postconf(5) を参照
       してください。

トラブルシューティング制御
       Postfix  システムのトラブルシューティング方法の例は DEBUG_README にあり
       ます。

       debugger_command (empty)
              Postfix デーモンプログラムが -D オプション付きで呼ばれたときに実
              行される外部コマンド。

       debug_peer_level (2)
              リ モートのクライアントやサーバが debug_peer_list パラメータのパ
              ターンにマッチしたときの、冗長ロギングレベルの増加分。

       debug_peer_list (empty)
              冗長ロギングレベルを $debug_peer_level に指定された量だけ増加 さ
              せる、リモートクライアントやサーバのホスト名やネットワークアドレ
              スパターンのオプションのリスト。

アクセス制御
       Postfixバージョン2.2以降で使えます:

       authorized_flush_users (static:anyone)
              キューをフラッシュすることが承認されたユーザのリスト。

       authorized_mailq_users (static:anyone)
              キューを見ることが承認されたユーザのリスト。

       authorized_submit_users (static:anyone)
              sendmail(1) コマンド (および権限付きの postdrop(1) ヘルパーコ マ
	      ンド) でメールを投函することが承認されたユーザのリスト。

リソースおよび速度制御
       bounce_size_limit (50000)
              不達通知で送られる、元のメッセージ文の最大量。

       fork_attempts (5)
              子プロセスを fork() しようとする最大回数。

       fork_delay (1s)
              子プロセスの fork() 試行間に入れる遅延。

       hopcount_limit (50)
              元のメッセージヘッダに許される Received:  メッセージヘッダの最大
              数。

       queue_run_delay (1000s)
              キューマネージャによる、deferred キューのスキャンの時間間隔。

高速 FLUSH 制御
       ETRN_README  ファイルには Postfix "高速 flush" サービスの設定および動作
       の詳細が記述されています。

       fast_flush_domains ($relay_domains)
              ある宛先に向けられたキューに入っているメールを持っている、配送先
              ごとのログファイルに適格な、オプションの配送先リスト。

VERP 制御
       VERP_README ファイルには Postfix の可変エンベロープリターンパスアドレス
       の設定および動作の詳細が記述されています。

       default_verp_delimiters (+=)
              デフォルトの2つの VERP デリミタ文字。

       verp_delimiter_filter (-=+)
              Postfix が Postfix sendmail(1) コマンドラインおよび SMTP コマ ン
              ドで VERP デリミタ文字として受け付ける文字。

その他の制御
       alias_database (g'postconf -d' の出力を参照)
              "newaliases"  または "sendmail -bi" で更新される、 local(8) 配送
              のためのエイリアスデータベース。

       command_directory (g'postconf -d' の出力を参照)
              全ての Postfix 管理コマンドの場所。

       config_directory (g'postconf -d' の出力を参照)
              Postfix main.cf および master.cf 設定ファイルのデフォルトの場 所
              。

       daemon_directory (g'postconf -d' の出力を参照)
              Postfix  サポートプログラムおよび Postfix デーモンプログラムがあ
              るディレクトリ。

       default_database_type (g'postconf -d' の出力を参照)
              newaliases(1)postalias(1)postmap(1) コマンドで使う、デフォ
              ルトのデータベース形式。

       delay_warning_time (0h)
              キューに入ったままのメールのメッセージヘッダを送信者が受け取るま
              での時間。

       enable_errors_to (no)
              エ ンベロープ送信者ではなく、非標準の Error-To: メッセージヘッダ
	      で指定されたアドレスにメール配送エラーを報告します ( こ の 機 能
	      はPostfixバージョン2.2で削除され、Postfixバージョン2.1ではデフォ
              ルトで無効となっており、それ以前のバージョンでは常に有効になって
              います)。

       mail_owner (postfix)
              Postfix キューおよびほとんどの Postfix デーモンプロセスを所有 す
              る UNIX システムアカウント。

       queue_directory (g'postconf -d' の出力を参照)
              Postfix トップレベルキューディレクトリの場所。

       remote_header_rewrite_domain (empty)
              こ の パラメータが空の場合、リモートクライアントからのメッセージ
              ヘッダは一切書き換えません; それ以外の場合は、メッセージヘッダを
              書き換え、不完全なアドレスに指定されたドメイン名を付加します。

       syslog_facility (mail)
              Postfix ロギングの syslog facility 名。

       syslog_name (postfix)
              例 えば "smtpd" が "postfix/smtpd" となるようにするために syslog
              レコードのプロセス名の前に付けられるメールシステムの名前。

       trigger_timeout (10s)
              (例えば pickup(8)qmgr(8) デーモンのような) Postfix デーモ ン
              にトリガーを送る制限時間。

ファイル
       /var/spool/postfix, メールキュー
       /etc/postfix, 設定ファイル

関連項目
       pickup(8) メール収集デーモン
       qmgr(8) キューマネージャ
       smtpd(8) SMTP サーバ
       flush(8) 高速 flush サービス
       postsuper(8) キューのメンテナンス
       postalias(1) エイリアスデータベースの保守
       postdrop(1) メール投函ユーティリティ
       postfix(1) メールシステム制御
       postqueue(1) メールキュー制御
       syslogd(8) システムロギング

README_FILES
       DEBUG_README, Postfix デバッグ howto
       ETRN_README, Postfix ETRN howto
       VERP_README, Postfix VERP howto

ライセンス
       The  Secure Mailer license はこのソフトウェアと一緒に配布されなければい
       けません。

作者
       Wietse Venema
       IBM T.J. Watson Research
       P.O. Box 704
       Yorktown Heights, NY 10598, USA



                                                                   SENDMAIL(1)